1.精神生理性不眠症(神経質性不眠) 精神生理性不眠症(神経質性不眠)とは、社会生活上のストレスや心配事によって引き起こされた不眠で、このタイプの不眠が最も多いといわれています。一度、不眠になると、それに対するこだわりや不安によって過剰に意識してしまい、不眠がかえって強くなり慢性化してしまいます。老年期には睡眠の質が低下しますので一層、不眠が慢性化していく傾向があります。 日中にも不安や緊張が強い場合は、抗不安薬を使用し, 眠前に超短時間型や短時間型の睡眠薬を使用することでこのタイプの不眠は改善します。 2.「心の病気」に伴う不眠 精神生理性不眠症についで多いのが、このタイプの不眠です。この領域の多くの疾患に、しばしば不眠がみられます。頻度が高く、重要なのは、うつ病に伴う不眠です。不眠は、「うつ病」の身体症状のうち最もよくみられる症状で、約90%のうつ病で不眠がみられるといわれています。特に、軽症のうつ病に伴う不眠は、その原因であるうつ病自体の存在に気がつかないことがよくあります。 老年期痴呆でも、不眠がしばしば問題になります。痴呆にかかると、睡眠の質が低下して睡眠が不安定になりやすいのです。そのために、昼間の居眠りが多くなるという悪循環に陥り、睡眠覚醒のリズムが不規則になります。このような状態では、起きている時の覚醒のレベルが低くなるために、徘徊、興奮、奇声などの異常行動が出現しやすいのです。 これを「せん妄」といいますが、家族の方はこの老人が狂ってしまったのではないかなどと大騒ぎされます。しかし、原因は睡眠覚醒のリズムの障害ですから、昼間は部屋を明るくして適当な刺激が加わるようにし、夜は作業時間の短い睡眠薬などを利用してよく眠れるようにしてあげれば改善します。 3.睡眠時無呼吸症候群 夜間、寝ている時に、激しいいびきをかき、そのいびきが無呼吸によって中断されるということを繰り返す状態をいいます。40歳代から50歳代の男性に多くみられます。 睡眠時無呼吸症候群では、無呼吸のために睡眠が障害されて浅く不安定になります。そのために、昼間の眠気を訴え、注意力、判断力が低下します。さらに、高血圧症などの身体症状も合併しやすいのです。肥満との関係が指摘されていますが、下顎の形態的要因による気道の閉塞が原因になることも多いとされています。 4.むずむず脚症候群 むずむず脚症候群とは、夜間におこる足の不快な感覚-虫が這うようなむずむずしたような感覚-のために、なかなか寝つけない、あるいは睡眠中に足がピクピクと動くために目が覚めるというタイプの睡眠障害のことです。このタイプの不眠症は意外に多く、60歳以上では10%近くに達するといわれています。 足の不快感は、足をのばしたり、曲げたりすることでなくなります。このために、足の伸展と屈曲の動作を繰り返したり、足踏みしたりしてしまいます。極端な場合は、夜間に部屋中を歩きまわったり、家の外で走りまわったりということもあるといいます。 5.睡眠相後退症候群 睡眠のリズムが慢性的に後にずれているために、適切な時間に眠ることができず、従って適切な時間に起きようとしても強い眠気のために起きることができないという睡眠障害です。結局、昼近くまで眠ってしまいます。このため、登校や出社ができず、社会適応レベルが低下してしまいます。無理に早く起きても、頭痛、頭重感、食欲不振や倦怠感などの身体的不調をきたし、日中の活動が助ェにできません。思春期から青年期にかけてよくみられ、登校拒否や出社拒否と間違われることがよくあります。 しかし、単純に生理的な睡眠リズムの異常なのか、あるいは社会から引きこもりがちになるような原因(うつ病、性格上の問題、心理的な問題など)があって、そのために睡眠のリズムがずれているのか、その区別は困難な場合も多いといわれています。 睡眠相後退症候群の治療では、光に対する感受性を高めたり、内因性のリズム周期を調整する作用のあるビタミンB12がよく用いられます。その他に、トリアゾラム(商品名、ハルシオン)などの超短時間型睡眠薬の使用、高照度光療法、メラトニンなどが治療に用いられます。 6.飲酒に伴う不眠 飲酒した時は、寝つきがよくなる場合もありますが、睡眠の後半ではアルコールの血中濃度の低下に伴い、睡眠が浅く、不安定になります。しかも、慣れが生じやすいために、徐々に飲酒量が増えていく危険性が高いのです。断酒した時には、寝つきが悪くなったり、睡眠が浅くなったりします。持続的に使用すると、気分をおちこませるような作用もあります。ですから、アルコールを睡眠薬の代りに用いることは危険なことなのです。
投稿日:2007-06-15

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